鹿島病院の取り組み

地域連携の取り組み

地域連携の取り組み紹介

鹿島病院は回復期機能、慢性期機能をもった病床数177床の病院です。 特殊疾患病棟、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟の3病棟と、居宅をはじめ訪問看護、デイケア、デイサービスなどの事業所があります。

鹿島病院には ①急性期病院からの患者を受け入れ、継続治療し、病状が安定した患者を在宅や施設へ支援することや②地域で暮らす高齢患者の病変に対応していくことが求められ 「高齢者医療・リハビリテーション」に取り組んでいます。(図1)

松江の医療・福祉供給体制における
鹿島病院の役割

松江の医療・福祉供給体制における鹿島病院の役割

島根県在宅医療連携推進事業「連携拠点病院としての取り組みについて」

地域全体で患者を看る地域包括ケアが重要だと言われてきましたが、鹿島病院は平成25年から3年間島根県在宅医療連携推進事業の連携拠点病院となり、地域の医療・介護の連携にかかわる様々な活動を行ってきました。

この事業は鹿島病院が軸となり、地域の各機関と一緒に高齢者医療・介護の課題について話し合い、在宅医療連携を充実させ、育てていってくださいというものです。この事業に関する活動に参加された方々は、鹿島病院と関連の深い橋北の開業医の集まりである黒田会の先生方、その地域を管轄する中央、松北、松東の3つの包括支援センター、並びに約20か所の居宅のケアマネジャーの方々などです。

事業の行われた3年間に、これらの方々と10回の会議、並びに講演会を行いました(表1)。最初の2回の話し合いから、次のような問題を解決することが地域の医療や介護の課題だということになりました。

  1. 多職種で患者についての情報交換や話し合う機会が不足しているという、情報交換の問題。
  2. 自分以外の職種を理解していないという相互の役割の理解の問題。
  3. ケアマネは医師に気後れすることがあるなど、相互の信頼関係に関すること。
  4. 延命治療や自然死など、終末期とその医療に関する知識や考え方やその齟齬についての問題。
  5. 機関や職種の異なる関係者間で顔の見える関係がまだ作れていないといった問題。

その後、8回の会議・講演会を通して、これらについてさまざまなアイデアを持ち寄り話し合いが続けられました。それぞれの会議の内容は、表1にある通りです。

活動の内容

活動の内容

これらの会議では、具体的な課題の解決に向けてさまざまな提案がなされたことは言うまでもありませんが、最も重要な成果は、地域の様々な機関で働く様々な職種の人びとが、互いに知り合いになれたことだと思います。というのは、こういった土台に立った話し合いの上で、互いの信頼が生まれるとともに、終末期など医療や介護についての基本的な知識や価値が共有されるからです。そして、ここからさまざまな機関や職種相互の役割の理解が生まれ、互いの情報交換が促進されます。この互いの役割の理解と情報交換を通じてはじめて、患者にとって望ましい在宅医療・介護の実践がおこなわれます(図2)。

連携の構造

お互いが知り合いでなく、信頼関係が築けていないところでは、どうしても自分の機関や職種のみに目がいってしまいます。そして、その結果、相互の役割の認識が不明確になるとともに、情報交換もうまくいかないことが多くなります。それでは、望ましい在宅医療・介護の連携など不可能です。望ましい地域の医療や介護は、さまざまな関連機関やさまざまな職種にいる人々が、互いに知り合いであるといったことを基礎とするピラミッド構造を持っているのです。

地域の医療・介護の連携を進めるにあたっては、事業終了後も、さまざまな機関や職種が、相互に知り合い、信頼関係を築けるような会合を持つことが必要だということは今回の会議に参加したさまざまな方々の共通した意見でした。鹿島病院も、そのような活動に貢献できればいいと考える次第です。


PAGE TOP